静かに扉は開かれ
新しい世界が目に映る
ガチャリと扉が開く音がする。
「おかえり」
「ただいま紅」
主人を待っていたのは赤毛の女の子
自分と同じ紅い瞳をした少女
「それが品?」
「品扱いするな」
「へいへーい」
軽い返事をする所を見ると友達かなにかなのだろう
ズィッ
「!!」
私は驚いた いつの間にか近くまで寄ってきていて私の顔を覗き込んだのだ
「ふぅん・・・・・・・・・・・・名前は?」
「・・・・・・ぁ・・・・・・・」
戸惑っている私に主人は言う
「・・・シキという名前だそうだ 仲良くしてやれよ」
「ふーん・・・で」
少女は今度は顔を主人へ向ける
「お土産は?」
「・・・・・・・あるとでも思ってんのかよ・・・・・」
「ちっ・・・・・」
正直友達なのかどうかもわからなくなってきた
「あぁ そういえば」
「ベル達大分待ってたよ『仕事が無い』って」
「・・・・そうか 分かった」
「じゃボクも仕事に戻るね 白竜」
白竜・・・・・それが主人の名前・・・・・?
「・・・・は・・・く・・・りゅ・・・?」
「・・・・・・そうだ ソレがオレの名前だ」
それが扉の前での最後の言葉
中へ上がりまっすぐと廊下を歩く
私はまだ抱きかかえられたまま
扉の前で足を止める白竜
目の前に蒼色の扉があった
まるで海のような蒼い扉
「ここは双子の部屋だ」
深海のような兄
滄海のような弟
そう言って扉を開けた
PR